いけません。(仮)

映画感想とか

舞台『8』感想(ネタバレあり)

観劇日時:201.12.23 18:00の回

 一回しか見れていないので、見逃し、記憶違いなどがある可能性があります。多分絶対あります。

 

 

 

《公式サイト》

100点un・チョイス!

 

國島くんの初主演だということで観に行きました。

内容はサスペンスもの。小さなクルーズ船に乗り合わせた人間たちの前で、『8』と名乗る人物から殺人のメッセージが届く。消えた乗員、静止する船、下手に動けばターゲット、悪あがきをすれば爆弾……と身動きのできない中で、次々に人が殺されていく。一体犯人は誰なのか?動機は?という(半)密室殺人事件。

 

劇場は(私に判断できるほどあまり経験がないけどもおそらく)小さなハコというのもあって、恐慌が客席にも伝わりやすい、また「怒り」や「悲しみ」などといったものも伝わってくるいい舞台だった。役者さんの力だと思います。特にこれまで平然とした顔を装っていた人が急に動揺して感情を剥き出しにする時の「見えてしまった・触れてしまった」感覚は怖いくらいだった。観客席にいるのだから究極的には関係ないのに、話している間に悲鳴が聞こえた時の血の気が引く感覚、落水音がして『取り返しの付かなくなった』ことを自覚した気持ち。私が観劇するのはおよそ2年半ぶりくらいだけれども、「ああこれは凄く怖くて楽しい」と思った。

舞台セットは船のレストランから一切動かないので、船の各所で殺されていくメンバーをどう表現するのかという点も、違和感がなかった。三箇所の出入り口にもそれぞれ役割があって分かりやすかった。 

反面、少し気になったのは脚本の数カ所。「ここ伏線だろうな」と思うことは(私が疑ぐりすぎているのもあって)多々有りそれは別に普通のことだけれども、序盤に「高校の時に熱烈な彼女がいた」という会話をキーにして、そこからもう終盤にその伏線を回収するのは長いかと思った。いや伏線の回収タイミングの序盤→終盤はめっちゃ燃える展開だけども、それまでに主人公が『一般人の探偵役』としてしかほぼ機能していなくて、その友達が犯人であったことも含めて、一見「あつらえたような」状態だったのはずっと気になった。偶然巻き込まれたという体の主人公、逆に伏線と犯人以外で主人公を示す要素がほぼ無くそのまま終盤まで宙ぶらりんだったのは「ああこいつ何かあるな」と思う要因だった。

また、殺人が次々と起こる船は状況的にほぼ密室なわけだから「誰がやったのか」と共に「どうやったのか」が取り沙汰されるべきだけども、2回目の(舞台上では1回目の)殺人であるヒヅキ社長事件は「鍵をどうやって開けたか」の説明はあったかな?あれがずっと引っかかっていて私は犯人当てゲームにも「サクライ」って書きました。あれを開けるにはこの人しかないって思ったんだけど、実際は本当に死んでたからビックリだよ。

 

殺された父親のために復讐を決意する姉弟。彼女と友人のために復讐を続行させようとする男。復讐の連鎖、取り返しの付かないこと。復讐をすれば誰かに復讐されるし、どこかで連鎖を断ち切らなくてはならない、罪は生きながら清算する必要がある。

見終えてから週末明けて仕事しててもそのくだりがずっと頭に残ってて、考えさせられる話でした。

故にその結果を書いておくと、私はあの復讐を肯定したいと思う。例え誰かが殺されようが、復讐が復讐を生んだとしても、あれは確かにケリのつけ方としてはアリだと思った。

今回の舞台、役者さんたちはみんなすごく悲惨な心を演技に出していて、それが痛いくらいに気持ちよかったし感情移入もさせられた。「俺の時間は止まったままなんだ!」って叫ぶ声に動かされたりもした。復讐を試みた人達はみんな辛そうだった。それだけの人達が、果たして復讐をしないで平和な日常を過ごせたか?っていうと、きっとそうじゃないと思う。どこかで何かしらの満足(すぐに枯渇するとしても)を得られなければ、生きながら死ぬような形だったんだろうと思う。それに対して犯人グループは、結婚を約束した相手がいたり、ビジネスが成功していたり、本当に「なんであんたがこの船乗ってんの?!」だ。理不尽で、納得いかない。同じ8年間を被害者の方は『殺人』を目標にするほどに追い詰められて過ごし、加害者はのうのうと生きている。そりゃ怒るよそりゃそうだよ。

生きて罪を清算しなければならない、だけどそれをするにはまず罪を公に認めさせなければならない。あの時警察に届け出て姉弟の知る情報を開示する手段を取る、司法に任せるにはそれしかなかっただろうけど、でもきっとあの姉弟はそれすらも信じられなくなっていたのかなと。だから『生きて』なんてまどろっこしいこと言ってられない、父親へ更に泥を塗らせないために……っていう気持ちの方が強かったんじゃないだろうか。

確かに犯人でも、その人生があるし、いなくなって悲しむ人もいる。だから『生きて償え』っていうのはとても理に適った話であると思う。ただ、幸せになるのはまず罪の清算をしてからだ、という気持ちもまたある。マトモな神経していたら、自分が殺してないとは言え原因の一端を握った殺人事件の起こった場所を金儲けに利用しようなんて思わないよ。死んだ人間にも家族や恋人がいたであろうことから目を背けてのうのうと幸せになろうとしていたところを殺されたからって、それを理由に『生』を説くのはどうなんだろうか。

だから『8』の正体が発覚してから、死に、また主人公が立つ時のくだりの復讐についての否は少しくどく感じた。復讐が復讐を生むことの悲しさは舞台上を見ていればよく分かるので、敢えて台詞にしなくても良かったのではないかと。複数人で繋いで喋って念押しするくらいなんだからそれがテーマなんだろうけども、状況があまりにも悲惨・報われなくて逆に『復讐する方』により同情してしまう原因だった。あくまで人殺しは悪い行為であるけれども。

 

記憶がパラパラなのであまり正確なところではないのですが、感想はこんな感じです。再度見たらまた何か変わるかもしれないけども。

 

 

──

週が明けても深く考えさせられる舞台でした。また、『舞台演劇』という要素を上手く生かしており、素晴らしい時間を過ごさせていただきました。

また再演することがあれば是非とも観に行きたいです。あとメインテーマ?みたいな曲の詳細欲しいです。

役者さん達の演技がとても突き刺さり、まだちょっと抜けそうにありません。

でも良かったです。